「宅建を取ったら、年収はどれくらい上がるんだろう」
受験を決める前に、いちばん気になるところだと思います。
先に結論を書きます。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、住宅・不動産営業の平均年収は660.7万円です。日本の平均給与より高い水準です。
ただ、この数字をそのまま「宅建を取れば660万円」と読むのは危険です。同じ厚生労働省のデータで、この職業のハローワーク求人の賃金は月額30.4万円。単純に12倍しても365万円で、平均年収との差は300万円近くあります。
こんにちは、ゆうです。群馬県の自動車部品メーカーで工場勤務をしながら、独学45点で宅建に合格しました。不動産業界への転職はしていません。そして、私の勤務先に宅建の資格手当はありません。
それでも、宅建を取ったことで年収は上がりました。副業収入が月2万円から5万円台になり、年間で約36万円の上乗せです。
この記事では、公的データで「業界に入った場合」の現実を確認したうえで、私のように転職しない人の選択肢まで書きます。
1. 宅建士の平均年収は660.7万円(公的データ)

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)「住宅・不動産営業」から、公表されているデータを引用します。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年収 | 660.7万円 |
| 平均年齢 | 42.4歳 |
| 労働時間 | 月163時間 |
| ハローワーク求人賃金 | 月額30.4万円 |
| 有効求人倍率 | 2.72倍 |
| 就業者数 | 138,640人 |
出典:厚生労働省職業情報提供サイト(job tag)「住宅・不動産営業」(賃金は令和7年賃金構造基本統計調査を加工、就業者数は令和2年国勢調査)
660万円という数字だけ見れば、かなり高い部類です。有効求人倍率も2.72倍で、求人のほうが人より多い状態が続いています。
ただし、この数字には読み方があります。
660万円は「宅建士の年収」ではありません
まず押さえておきたいのが、これは宅建士の年収ではなく、住宅・不動産営業という職業の年収だということです。宅建を持っていない営業も、ベテランの管理職も含まれた平均です。
そして平均年齢は42.4歳。20年近く業界で働いてきた人を含めた数字なので、未経験で入った1年目の年収ではありません。
求人賃金は月30.4万円。300万円の差はどこから来るのか
同じページのハローワーク求人データを見ると、募集時の賃金は月額30.4万円です。年収に直すとおよそ365万円。平均660万円との差は、ほぼ歩合給と賞与です。
job tagの「労働条件の特徴」にも、給与は基本給のほかに売上に応じた歩合給がつく場合があると書かれています。つまり不動産営業の年収は、入った時点では365万円ほどで、そこから売った分だけ増えていく構造です。
「宅建士 年収600万」という数字を見て転職を考えるなら、この差を先に知っておいてください。
2. 年収が上がる3つのルート

宅建で収入を増やす道は、大きく3つに分かれます。
| ルート | 増え方 | 難易度 |
|---|---|---|
| ① 不動産業界へ転職する | 基本給+歩合。上限は大きいが不安定 | 転職が必要 |
| ② 今の会社で資格手当をもらう | 月1〜3万円(年12〜36万円) | 制度があれば確実 |
| ③ 副業で使う | 月数万円から。自分の時間と引き換え | 転職も制度も不要 |
①は分かりやすい道ですが、働き方が大きく変わります。job tagにも、顧客の都合に合わせるため労働時間・休日が不規則で、休日は平日に取ることが多いと書かれています。土日に家族と過ごす生活からは変わる、ということです。
(内部リンク:宅建士はやめとけと言われる5つの理由|オワコン説を独学45点合格者が検証)
②は制度がある会社なら一番確実です。ただし、ここに落とし穴があります。
3. 資格手当は、会社によってゼロです

私の勤務先は自動車部品メーカーです。宅建の資格手当は、当然ながらありません。
うちの会社で評価されるのは、機械保全技能士のような製造の現場で使う資格です。私は機械保全技能士の1級に合格しましたが、このときはお祝い金のようなものが一度もらえただけでした。毎月の手当が付くわけではありません。
ここで言いたいのは「うちの会社はケチだ」ということではありません。会社は、自社の仕事に必要な資格にしかお金を出さないという、当たり前の話です。自動車部品を作る会社にとって、重要事項説明ができる人材に月々の手当を払う理由はどこにもありません。
手当がもらえるのは、どんな会社か
宅建の資格手当が期待できるのは、宅建士が業務や免許の要件に関わる業種です。
| 業種 | 手当の期待度 | 理由 |
|---|---|---|
| 不動産(売買・仲介・管理) | 高い | 事務所ごとに従業者5人に1人の専任宅建士が必要で、いないと免許の要件を満たさない |
| 建設・住宅メーカー | 中〜高 | 自社で土地や建物を売るため、宅建業の免許を持っている会社が多い |
| 金融・保険 | 中 | 住宅ローンや担保評価で不動産知識を使う |
| 上記以外(製造・小売・医療など) | 低い〜ゼロ | 業務で使う場面がない |
設置義務の根拠:国土交通省「宅地建物取引業の免許について」(事務所に従業者5人に1人の割合で専任の宅地建物取引士を設置していない場合は免許の欠格要件にあたる)
不動産業で手当が手厚いのは、会社側に置かなければ営業できないという事情があるからです。感謝で払っているわけではなく、免許を維持するためのコストとして払っている。この構造を知っておくと、転職先を選ぶときの見方が変わります。
手当の形は3種類ある
ひとくちに資格手当と言っても、支給のされ方は分かれます。
- 毎月の資格手当:求人票の待遇欄でよく見るのは月1万〜3万円。年間に直すと12万〜36万円で、これが一番大きい
- 合格時の一時金(お祝い金):合格した年に一度だけ。私の機械保全技能士がこれでした
- 受験料・講座費用の補助:受験料や通信講座代を会社が負担してくれるケース
同じ「資格を評価する制度がある会社」でも、1なのか2なのかで金額は何十倍も変わります。「資格手当あり」の4文字だけで判断しないでください。
確認するのは、就業規則の賃金規程です
自社に制度があるかどうかは、社内で確認できます。
- 就業規則(賃金規程)の資格手当・技能手当の項目を見る
- 手当の対象資格リストに「宅地建物取引士」があるか確認する
- 支給条件を見る。「宅建士証の交付を受けていること」が条件になっている会社もあります(合格しただけでは支給されない)
- 分からなければ総務・人事に聞く。取得を検討している段階で聞いても、まったく問題ありません
転職を考えているなら、求人票の待遇欄に「宅地建物取引士手当 月◯円」と明記されているかを見てください。金額が書かれていない場合は、面接で聞ける項目です。
手当がない会社に勤めている人へ
ここまで読んで「うちは対象外だ」と分かった方も多いと思います。私もそうでした。
その場合の選択肢は2つです。手当がある業種に転職するか、会社の制度に頼らず自分で収入を増やすか。 私は後者を選びました。次の章で、実際の数字を書きます。
4. 【体験談】転職せずに、年36万円を増やしました

私は①も②も使えませんでした。転職する気はなく、勤務先に手当もない。それでも年収は上がっています。使ったのは③の副業ルートです。
取得前:10記事書いて2万円
宅建を取る前、私が書いていたのはファッションなどの記事でした。文字単価は1円未満。10記事書いて、月2万円ほどです。
専門知識が要らない記事なので、誰にでも代わりがきく仕事でした。単価を上げようにも、選ばれる理由がありません。
取得後:月5万円台で安定
宅建士になってから、不動産・住宅ローン系の記事を受けられるようになりました。文字単価は2円以上に上がり、1記事2万円の仕事もあります。いまは月5万円を安定して超えています。
差額は月3万円。年間にすると約36万円の上乗せです。資格手当の相場(年12〜36万円)の上限と同じくらいの金額を、転職も制度もなしで作れた計算になります。
実は、金額よりも時間のほうが変わりました
数字以上に大きかったのが、作業時間です。
専門分野に特化したことで、調べる時間が大きく減りました。以前は知らない分野を一から調べながら書いていたので、1本にかかる時間が長かった。いまは自分の知識の中で書ける部分が多いので、月の稼働時間が3分の2くらい、時間にして10〜20時間減っています。
正直に書いておくと、これはAIツールが使えるようになった影響もあります。宅建だけの効果とは言い切れません。
ただ、収入が増えて時間も減ったことで、空いた時間をブログや情報発信に回せるようになりました。ここが一番の変化かもしれません。同じ時間で、次の柱を育てる余裕が生まれたということです。
5. あなたが取るべきルートはどれか

3つのルートを、状況別に整理します。
① 転職ルートが向いている人
- 成果が数字で返ってくる働き方に魅力を感じる
- 土日や夜の勤務を受け入れられる
- 20〜30代で、業界でキャリアを積む時間がある
② 資格手当ルートが向いている人
- 勤務先が不動産・建設・金融・保険のいずれか
- 就業規則に宅建の手当が明記されている
- 転職せずに、確実な上乗せが欲しい
③ 副業ルートが向いている人
- 勤務先に手当がなく、転職する気もない
- 月に10〜20時間を作れる
- 知識を文章や提案の形で使うことに抵抗がない
私は③でした。工場勤務の人間にとって、③は現実的な選択肢です。ただし、資格を取っただけで仕事が来るわけではありません。実績ゼロからの営業は普通に大変です。それでも、「宅建士」と名乗れるかどうかで、応募の土俵が変わるのは間違いありません。
なお、監修などの仕事は宅建士としての登録が必要です。合格しただけでは名乗れないので、仕事に使うつもりなら登録まで見ておいてください。
6. まとめ:宅建士の年収は「どのルートを選ぶか」で決まる

- 住宅・不動産営業の平均年収は660.7万円(厚生労働省)。ただし宅建士だけの数字ではなく、平均年齢は42.4歳
- ハローワーク求人の賃金は月30.4万円。平均年収との差は歩合と賞与によるもの
- 年収を上げるルートは、転職・資格手当・副業の3つ
- 資格手当は業種によってゼロ。私の勤務先(自動車部品メーカー)に宅建手当はない
- 私は転職も手当もなしで、副業収入を月2万円から5万円台へ。年間約36万円の上乗せ
- 金額だけでなく、専門特化で作業時間が月10〜20時間減った
宅建を取れば自動的に年収が上がるわけではありません。ただ、上げるための選択肢が3つに増えるのは確かです。私のように、転職しないまま使う道もあります。
その3万円は、家族との時間を削って買うものではありません
ここまで読んで「自分もやってみようか」と思った方に、正直に伝えておきたいことがあります。
私は合格まで600時間かけました。朝4時に起きて2時間、それを10ヶ月です。その間、休日に子どもと過ごす時間も、妻に任せきりにした家事もありました。年36万円を手に入れた裏で、確実に家族の時間を使っています。
いま振り返ると、600時間は明らかにかけすぎでした。 満点を取る必要のない試験なのに、出題されない範囲まで手を広げて、不安だからという理由で同じ問題を何周もしていたからです。あのとき「やらなくていい範囲」を知っていれば、もっと早く終わっていたはずです。浮いた時間は、そのまま家族に返せたはずでした。
だから、これから始める方にはここだけ先に押さえてほしいと思っています。クレアールの資料請求でもらえる『非常識合格法』は、合格に必要な範囲だけに絞り、それ以外を捨てる考え方をまとめた本です。定価1,650円の市販書籍が、そのまま無料で届きます。
読んでおくと、テキストを開く前に「何をやらないか」が決まります。同じ合格でも、削れた時間はそのまま自分と家族に戻ってきます。
収入を増やすために、いまの生活を犠牲にする必要はありません。まずは0円で手に入る判断材料から始めてください。