「法令上の制限を進めていたら、農地法の3条・4条・5条の区別がまったくつかない……」
「許可権者が農業委員会なのか知事なのか、覚えた端から忘れていく」
「市街化区域の特例とか、相続の例外とか、ひっかけパターンが多くて頭がこんがらがってきた」
法令上の制限を勉強していて、農地法でこうした壁にぶつかる独学受験生は多いです。何を隠そう、私自身がそうでした。
先に結論をお伝えします。農地法の3条・4条・5条は、語呂合わせで丸暗記する必要はありません。問題文を読んだら「持ち主が変わるか?」「使い方が変わるか?」の2つだけを確認する。これだけで、何条の話かが判別でき、許可権者もひっかけも芋づる式に解けるようになります。
この記事では、群馬の自動車部品メーカーで工場勤務をしながら、完全独学で45点を取って一発合格した私(ゆう)が、実際に農地法に取り組んだときの「2軸判定法」と、試験本番で1点をもぎ取るための考え方を、実体験ベースで解説します。
ただし、最後に正直な話もします。私が受けた2024年(令和6年)の農地法は、基本の判定だけでは足りない、かなり手ごわい問題でした。その本番の話も、後半で正直に書きます。
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- 農地法が「覚えにくい」と感じる本当の原因
- 問題文を読んだ瞬間に何条か判別できる「2軸判定法」
- 試験で狙われる「ひっかけ5大パターン」と、間違えないための考え方
- 語呂合わせに頼らず知識を定着させる「脳内講義法」の農地法バージョン
- 【本番の実話】基本だけでは解けなかった令和6年問21と、「過去問完璧後にテキストを流し読み」で穴を潰す勉強法
1. 農地法が「覚えにくい」のは、条文番号で覚えようとするから

「3条は権利移動、4条は転用、5条は転用目的の権利移動……」
このフレーズ、私も最初はテキストの太字部分を何度も目で追っていました。でも、いざ過去問の問題文を読むと、その場で「これは何条だ?」がパッと出てこない。「3」「4」「5」という数字と、条文の中身が、頭の中で結びついていなかったんです。
覚えられない原因はシンプルです。条文番号の「3」「4」「5」という数字自体には、内容との論理的なつながりが一切ないからです。
「3条だから権利移動」——なぜ「3」が権利移動なのか、理由はありません。番号と内容がバラバラに記憶されるので、数日経つとどれがどれだか分からなくなる。私が最初につまずいたのも、まさにここでした。
逆に言えば、「3条=権利移動」「4条=転用」という結びつきが、回数を重ねて体に馴染んでくると、例外規定まで関連づけて一気に覚えやすくなります。そうなればひっかけにも自然と気づけるようになる。私の場合、その「馴染む」きっかけになったのが、次に紹介する2軸の考え方でした。
覚えるべきは「番号」ではなく「何が変わるか」
農地法の3つの条文は、すべて「持ち主」と「使い方」のどちらが変わるかで整理できます。
| 条文 | 持ち主が変わる? | 使い方が変わる? | ひとことで言うと |
|---|---|---|---|
| 3条 | ○ YES | × NO | 農地を農地のまま譲る |
| 4条 | × NO | ○ YES | 自分の農地を別の用途にする |
| 5条 | ○ YES | ○ YES | 農地を譲って、しかも別の用途にする |
「持ち主だけ変わる=3条」「使い方だけ変わる=4条」「両方変わる=5条」。
よく「3+4=5」と言われるのはこのことです。3条(持ち主)と4条(使い方)を足したもの=5条(両方)。足し算のイメージで覚えれば、混同しにくくなります。
2. 問題文を読んだ瞬間に何条かわかる「2軸判定法」

3条・4条・5条の違いがわかったところで、実際の問題でどう使うのかを見ていきましょう。
私が過去問を解くときにやっていたのは、問題文を読んだら2つの質問を自分に投げかけるだけ、というシンプルな方法です。
2つの質問で条文を確定させる
| 質問 | YES → | NO → |
|---|---|---|
| ❶ 持ち主(権利者)が変わるか? | 3条 or 5条 | 4条 |
| ❷ 使い方が変わるか?(農地→宅地など転用があるか?) | 4条 or 5条 | 3条 |
- 両方YES → 5条
- ❶だけYES → 3条
- ❷だけYES → 4条
この2軸判定を、3つの具体例で実演してみます。
判定例①:「農家Aが自己所有の農地を駐車場にする」
- ❶ 持ち主が変わるか? → NO(Aの土地のまま)
- ❷ 使い方が変わるか? → YES(農地→駐車場)
- → 4条(自己転用)
判定例②:「BがCの所有する農地を購入し、住宅を建築する」
- ❶ 持ち主が変わるか? → YES(C→B)
- ❷ 使い方が変わるか? → YES(農地→住宅用地)
- → 5条(転用目的の権利移動)
判定例③:「農家DがEの農地を借りて耕作する」
- ❶ 持ち主が変わるか? → YES(E→Dに使用権が移転)
- ❷ 使い方が変わるか? → NO(農地のまま耕作)
- → 3条(権利移動)
この判定例③は、実は本番でも問われた重要ポイントです。農地を「借りる」=賃貸借・使用貸借で耕作する権利を設定する場合も、持ち主(使う権利)が動くので3条の許可が必要です。あとで詳しく触れます。
この「2軸判定」を過去問で繰り返すだけで、問題文を読んだ瞬間に「これは〇条の話だ」と判断できるようになります。
3. 試験で狙われる「ひっかけ5大パターン」と間違えない考え方

3条・4条・5条を区別できるようになったら、次は試験で狙われるひっかけポイントを押さえましょう。
農地法のひっかけは、パターンがある程度決まっています。以下の5つを押さえれば、農地法の得点力はぐっと安定します。
権利関係のように、こねくり回した複雑なひっかけは農地法にはほとんどありません。解説を読んでテキストに戻れば「なるほど」と納得できるものばかりなので、何回か間違えながら理由ごと覚えていけば十分対応できます。
パターン1:許可権者のすり替え
| 条文 | 許可権者 |
|---|---|
| 3条 | 農業委員会 |
| 4条・5条 | 都道府県知事等 |
ここで「4条の許可権者は農業委員会である」といったすり替え問題が出ます。
間違えない考え方: 「農地を農地のまま渡す(3条)なら、地元の農業委員会で十分。でも農地をなくしてしまう転用(4条・5条)は、地域の土地利用に大きな影響を与えるから、もっと上の知事(地域の長)の判断が必要」
「転用あり=知事、転用なし=農業委員会」。理由ごとイメージで覚えれば、語呂合わせに頼らなくても忘れません。
パターン2:市街化区域の特例(最頻出ひっかけ)
- 4条・5条 → 市街化区域内なら許可不要(届出でOK)
- 3条 → 市街化区域内でも「許可が必要」(特例なし!)
ここが農地法で最も出題されるひっかけです。「市街化区域内の農地を売買するため、農業委員会に届け出た」という選択肢に引っかかる受験生が毎年出ます。
間違えない考え方: 「市街化区域=どんどん建物を建ててOKの場所。だから転用(4条・5条)は届出で足りる。しかし3条は転用ではない(農地のまま渡す)。市街化区域だろうが農地のまま渡すなら、農業委員会の許可が必要」
ポイントは「特例は転用(4・5条)だけ」と覚えること。3条に特例がない理由は、3条はそもそも転用と無関係だからです。
パターン3:相続・遺産分割の例外
- 相続や遺産分割による農地の取得 → 3条の許可は不要
- ただし、農業委員会への届出は必要
「遺産分割による農地の取得には、3条の許可が必要である」→ これはバツです。
間違えない考え方: 「相続や遺産分割は、自分の意思で『農地を買いたい』と決めて起きるものではない。意思によらない取得だから、許可の対象にはならない。ただし『農地を持っていますよ』と農業委員会に届け出る義務はある」
許可は不要、届出は必要。この2つをセットで覚えてください。
パターン4:抵当権の設定
- 農地に抵当権を設定する → 許可不要
「農地に抵当権を設定するには3条の許可が必要である」→ これもバツです。
間違えない考え方: 「抵当権は担保のための権利であって、農地を『使う』権利ではない。耕したり、住んだりする権利が移るわけではないので、3条の『権利移動』には当たらない」
3条の権利移動とは使用収益する権利(所有権・賃借権など)の移動のことです。抵当権はこれに含まれません。
パターン5:農地の判定は「現況主義」
- 登記簿上の地目が「宅地」や「山林」でも、現に耕作されていれば農地法上の「農地」
「登記簿上の地目が宅地であるため、農地法の許可は不要である」→ バツです。
間違えない考え方: 「農地かどうかは、実際に見に行って田んぼや畑があるかどうかで決まる。書類上の地目は関係ない。これが現況主義」
逆も同じです。登記簿上は「田」でも、現況が駐車場として使われていれば、農地法の農地には該当しません。常に「現地の実態」で判断すると覚えてください。
4. 農地法を定着させる「脳内講義法」

ここまでの「2軸判定法」と「ひっかけ5大パターン」を理解したら、最後は過去問で定着させるフェーズです。
私がやっていたのは、開発許可の記事でも紹介した「脳内講義法」と同じ方法です。過去問を解くとき、単に「答えは3番」と記号で解くのを禁止し、すべての選択肢で「なぜマルなのか・なぜバツなのか」を頭の中で唱えます。
脳内講義の実演
たとえば、次のような選択肢を見たとします。
選択肢: 市街化区域内にある農地について、あらかじめ農業委員会に届け出れば、農地法3条の許可を受けずに売買することができる。
このとき、私の頭の中ではこんな「実況中継」が流れていました。
- 2軸判定:「農地を売買する。持ち主が変わるが、農地のまま(転用なし)。よって3条の話」
- ルール適用:「市街化区域の特例は4条・5条だけ。3条に特例はない」
- 結論:「だから市街化区域内でも3条の許可が必要。届出だけでは足りない。この選択肢はバツ!」
この「2軸判定 → ルール適用 → 結論」の3ステップを、すべての選択肢で省略せずに繰り返します。
最初は時間がかかりますが、何問か解けば判定スピードが上がってきます。そして、本番で少し言い回しが変わった初見の問題が出ても、同じプロセスをなぞれば落ち着いて正解にたどり着けるようになります。
この脳内講義法の詳しいやり方は、こちらの記事で解説しています。
5. 【本番の実話】基本だけでは解けなかった令和6年の農地法

ここからが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。
正直に言います。私が受けた2024年(令和6年)の農地法(問21)は、かなり難しかったです。
私はこの1問を正解できました。でもそれは、「2軸判定でスッキリ!」だけで解けたわけではありません。当時の問題を振り返ると、選択肢に並んでいたのは、
- 停止条件付売買契約を原因とする所有権移転の仮登記に、農業委員会の許可が必要か
- 申請書の連署が必要かどうか
- 農地の賃貸借の更新拒絶の通知期間(○年前から○か月前まで)
- 賃貸借の解約等に知事の許可が必要か
といった、それまで解いてきた過去問には見当たらなかった、細かい論点ばかりでした。基本の「3条・4条・5条の判定」だけでは、正直、手も足も出ないレベルです。
ではなぜ解けたのか。答えは単純で、テキスト(私はトリセツを使っていました)の隅にある細かい論点まで、ひととおり目を通していたからです。もし主要論点だけで満足して細部を飛ばしていたら、この1問はまず落としていたと思います。
「過去問を完璧にした後」にテキストを流し読みするのが効率的
このトリセツの読み込みをやったのは、直前期に入って、分野別過去問がほぼ完璧になったタイミングでした。これには理由があります。
テキストを最初から通読すると、全範囲をじっくり読み解かないといけません。時間がかかるうえ、すでに過去問で覚えた論点も何度も目にすることになり、効率が悪い。
でも、過去問を完璧にした後なら話は別です。この段階でテキストを流し読みすると、「あれ、これ過去問で見たことないぞ」という論点だけが浮かび上がってきます。その”初めて見る論点”こそ、過去問ではカバーされていない穴。そこだけをピンポイントで記憶すればいいので、驚くほど効率よく穴を埋められます。
私が令和6年問21で問われた「賃貸借の更新拒絶」あたりも、まさにこの流し読みで拾った論点でした。朝4時に起きて、眠い目をこすりながらトリセツの欄外を流し読みしていた自分を、本番で「やっておいてよかった」と心から思いました。
農地法は「範囲は狭いが、油断は禁物」
農地法は、テキストで見ればページ数はごくわずかです(私が使ったトリセツでも数ページ程度)。主要論点は数日で頭に入ります。「範囲が狭い=短期間で仕上がる」のは事実です。
ただ、令和6年のように、その狭い範囲の「奥」まで突っ込んで問われる年もあります。だからこそ、基本の2軸判定で土台を固めたうえで、次のような細かい論点までインプットしておくと、本番での取りこぼしが減ります。
- 市町村が権利移動する場合 → 許可が必要(国・都道府県等は原則不要)
- 子どもへの贈与(生前贈与)→ 3条の許可が必要(意思による取得だから)
- 遺産分割による取得 → 許可不要・届出は必要
- 賃貸借・使用貸借による権利設定 → 原則3条の許可が必要(令和6年で問われた論点)
「基本は2軸でスッキリ。でも最後のひと押しは細部で決まる」。これが、実際に受けた私の正直な実感です。
過去問で脳内講義法がスムーズに回せるようになったら、次は初見の問題で「細かい論点まで対応できるか」を試してみてください。市販の予想模試を使えば、農地法を含む法令上の制限が本番レベルで解けるかどうかをチェックできます。私も直前期に市販模試を使い、「知らない論点」をあぶり出すのに役立ちました。
6. 3条・4条・5条の全体像を1枚の表で整理する

最後に、この記事で解説した内容を1枚の表にまとめます。迷ったときの「辞書」として使ってください。
| 項目 | 3条(権利移動) | 4条(自己転用) | 5条(転用目的の権利移動) |
|---|---|---|---|
| 何が変わる? | 持ち主だけ | 使い方だけ | 持ち主+使い方 |
| ひとことで | 農地→農地のまま渡す | 自分の農地→別の用途に | 農地を渡して→別の用途に |
| 許可権者 | 農業委員会 | 都道府県知事等 | 都道府県知事等 |
| 市街化区域の特例 | なし(許可必要) | あり(届出でOK) | あり(届出でOK) |
| 対象 | 農地+採草放牧地 | 農地のみ | 農地+採草放牧地 |
| 相続・遺産分割 | 許可不要(届出必要) | ─ | ─ |
| 無許可の効果 | 契約無効 | 原状回復命令 | 原状回復命令 |
まとめ:農地法は「2軸判定」で土台を作り、細部で仕上げる

農地法は、法令上の制限の中でも範囲が狭く、短期間で得点源にしやすい科目です。開発許可や建築基準法に比べれば、覚えるべきルールの量はずっと少ない。だからこそ、ここで1点を取りきることが合格への近道になります。
農地法攻略の3つの鉄則
法令上の制限は、開発許可と合わせてここで2点を確保するのが鉄板戦略です。
- 「何が変わるか」で条文を一発判定する
- 持ち主が変わる? → 3条 or 5条
- 使い方が変わる? → 4条 or 5条
- 両方変わる? → 5条。この2軸だけで迷わなくなります。
- ひっかけ5大パターンを「理由」で覚える
- 許可権者・市街化区域の特例・相続・抵当権・現況主義。なぜそのルールがあるのかを理解すれば、暗記量は最小限で済みます。
- 過去問演習では「脳内講義法」を徹底し、細部まで詰める
- 記号で答えるのをやめ、選択肢ごとに「2軸判定 → ルール適用 → 結論」を唱える。そのうえで、令和6年のような細かい論点にも対応できるよう、テキストの隅まで一度は目を通しておく。
今日の過去問演習から、まず「2軸判定法」を試してみてください。ごちゃ混ぜだった3条・4条・5条が、驚くほどスッキリ整理されるはずです。
- 同じ法令上の制限シリーズ、開発許可の攻略法はこちら → 【法令上の制限】宅建の「開発許可」を絶対に落とさない!面積基準と例外ルールのスッキリ暗記術