「宅建に興味はあるけれど、本当に自分なんかが独学で受かるだろうか……」
「仕事と育児でクタクタ。分厚い本を読み込む時間なんてない」
「テキストを買ってみたものの、法律用語ばかりで全く頭に入らない」
これから宅建の勉強を始めようとする一方で、勉強法や時間のなさに不安を感じていませんか。
私も同じでした。群馬の自動車部品メーカーで工場勤務15年、法律知識はゼロ。工業高校卒で暗記も苦手。仕事から帰れば娘2人の相手でバタバタ。買ってきた分厚いテキストの表紙を見て「これ全部覚えるのか」とため息をついていました。
結論からお伝えします。
宅建を独学で突破する最大のコツは、「テキストを最初に読み込まない」ことです。 問題集を先に解いて、テキストは後から辞書として逆引きする。この【問題集ファースト】が最短ルートです。
私はこのやり方で、朝4時〜6時の2時間×10ヶ月、完全独学で2024年度の宅建試験に一発合格しました(自己採点45点/合格点37点、宅建業法は20点満点)。使ったテキストはLECの「宅建士 合格のトリセツ 基本テキスト」1冊だけです。
この記事では、1冊のテキストをどう回して合格まで持っていくかを、時期別の具体的な手順に落として解説します。今日そのまま真似できる形で書いたので、読み終わったらすぐ動けるはずです。
💡 「そもそも何ヶ月前から始めればいいの?」というスケジュールを先に知りたい方は、まず全体像の記事から読んでみてください。その上でこの記事の「回し方」を当てはめると、迷いがなくなります。
結論:独学合格者のテキストの使い方は「問題集ファースト」

独学で最もやってはいけない勉強法。それは「テキストを最初から最後までじっくり通読して、すべて理解してから問題集に移る」という進め方です。
理由は2つあります。
1つ目は、法律の初学者がいきなりテキストを読み進めても、脳が処理しきれずに挫折すること。
2つ目は、なんとか1周読み終えて問題集を開く頃には、最初に読んだ民法を綺麗さっぱり忘れていることです。読むだけの通読は、インプットの効率としてかなり薄いんです。
そこで私が実践したのが、「問題集を解いて、その解説を理解するためにテキストを調べる(逆引きする)」というスタイルでした。
なぜこの順番なのか
いきなりテキストを読むと、どこが試験に出るのかが分かりません。結果、重要度の低い雑学のような箇所まで必死に暗記しようとして、脳がすり減ります。
先に問題を見れば「どう出題されるか」というゴールが分かります。そのあとテキストを開くと、脳が必要な情報だけを拾ってくれるようになります。
具体的に何をするか
やることは1つだけです。
問題集を解く → 間違えた箇所の解説を読む → それでも納得いかない時だけテキストの該当ページを逆引きする
テキストを読む時間は、勉強時間全体の2割以下で構いません。残り8割は問題を解くアウトプットに使ってください。
| 割合の目安 | やること | |
|---|---|---|
| アウトプット | 8割 | 過去問を解く |
| インプット | 2割 | 間違えた箇所だけテキストを逆引き |
最初は全く解けなくていい
知識ゼロで問題を解いても、当然ほとんど分かりません。私も分野別過去問を始めた頃の正解率は10%程度でした。10問解いて1問当たるかどうか。当てずっぽうと変わらないレベルです。
それでも構いません。問題文と選択肢を読み、分からないまま答えと解説を見る。そして「テキストに書いてあるルールは、こういう聞かれ方をするのか」と確認する。この往復を繰り返すだけで記憶に残っていきます。
今日やること(1問だけ)
手元にある(または購入予定の)テキストと問題集を開いてください。そして宅建業法の最初の1問を、試しに解いてみてください。
間違えて大丈夫です。その間違いが、次にテキストを開いたときに内容を吸い込むための「フック」になります。
テキストの回し方3ステップ|時期別の具体的な進め方

「問題集ファースト」をベースに、合格までにテキストをどう回すか。時期別の3ステップで紹介します。
ステップ1:最初の1週間はパラパラめくって「興味づけ」だけする
なぜやるのか
興味のない文字の羅列を覚えようとすると、脳が拒絶して眠くなります。まずはウォームアップとして、テキストや用語への親近感を作る工程が必要です。
私の体験
勉強を始めた最初の数日、私はいきなり民法の意思表示のページを読もうとして、3ページで猛烈な睡魔に襲われました。朝4時に起きて、眠い目をこすりながら机に向かって、そこから3ページで撃沈です。「これを10ヶ月続けるのは無理だ」と本気で思いました。
そこでやり方を変えました。最初の1週間は「勉強するぞ」と力まず、本屋で雑誌を立ち読みするような感覚でテキストをめくったんです。
「へえ、ペンギンのキャラクターがいるんだ」 「クーリング・オフってこれのことか」 「このへんは図が多いから何とかなりそう」
見出しとイラストを眺めただけ。それでも法律アレルギーを起こさずに済みました。
- 1日10分、テキストを最初から最後までめくる(読まない、眺めるだけ)
- 気になった見出しや単語があったら、その周辺だけ数行読む
- 「宅建業法が一番ボリュームある」など、全体のバランスだけ把握する
- 1週間経ったら、内容を覚えていなくても次のステップに進む
ステップ2:本番直前まで「辞書」として逆引きしまくる
なぜやるのか
記憶は、読んだ時ではなく、解いて間違えて、それを修復した時に定着します。テキストは「覚えるために読むもの」ではなく「間違えた謎を解くための辞書」です。
私の体験
ステップ2に入ってからは、机に向かう時間のほぼ全てを分野別過去問に使いました。
最初は全滅に近い状態です。それでも間違えて解説を読んだあと、テキストの該当箇所を逆引きします。
「あ、さっきの問題で『知事の免許が必要』となっていたのは、テキストのこの表の条件に当てはまるからか」
こうやってテキストに戻るたびに納得が積み重なって、知識が使える形に変わっていく感覚がありました。ここまで来ると、朝4時に起きるのがそこまで苦じゃなくなります。
- 問題を解く(分野別過去問1テーマ分、10〜20問)
- 答え合わせをして、間違えた問題に印をつける
- 解説を読む。ここで納得できたらテキストは開かない
- 解説を読んでも腑に落ちない問題だけ、テキストの索引や目次から該当ページを開く
- 該当箇所を読んだら、すぐ問題に戻って「なぜその答えになるか」を自分の言葉で言い直す
4番の「腑に落ちない問題だけ」がポイントです。全部テキストで確認していると時間が足りません。
ステップ3:最後の1ヶ月で「一気通読」して穴を埋める
なぜやるのか
過去問で土台ができた後にテキストを通読すると、今度は「過去問ではカバーされていなかった細かい知識や法改正」が浮き上がって見えます。ここが本番での取りこぼしを防いでくれます。
私の体験
試験1ヶ月前、それまでやらなかった「テキストの最初からの通読」を初めてやりました。
すでに過去問を何度も回した後なので、文字の羅列だったはずのテキストが小説みたいにスラスラ入ってきます。知っている知識は流し読みでいいので、体感では半日ほどで全科目を1周できました。
その時に気づいたのが法改正です。特に印象に残っているのが相続登記の義務化(令和6年4月1日施行)。過去問には当然まだ出てきていない論点でした。ここにマーカーを引いて、本番前にもう一度見直しています。
実際、令和6年度試験では相続登記の義務化そのものは出題されませんでしたが、同じ改正で変わった「遺贈の登記」が問14で出題されました(相続人以外への遺贈は単独申請できない、という肢)。過去問だけを回していたら手も足も出なかった論点です。
直前期の通読は、独学者にとって最後の得点力の引き上げになります。
なお、市販テキストの多くは「ここが法改正点です」という印を本文につけていません。トリセツもそうです。その代わり出版社が法改正情報と統計情報をネットで無料配信しているので(トリセツならLECのMyページ)、通読前に一度目を通しておくと、通読中に「これは今年の改正だ」と拾えるようになります。お使いのテキストの奥付やカバーに案内があるはずなので、確認してみてください。
通読のやり方
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 時期 | 本番の1ヶ月前 |
| かける時間 | 全科目で半日程度(知っている箇所は流し読み) |
| 読み方 | 過去問で見た知識=流す/初めて見る記述=マーカー |
| 通読後 | マーカー箇所だけを本番前日と当日朝に見直す |
テキストへの書き込み・マーキング4つのルール

付箋と色ペンでテキストをきれいにまとめて、安心していませんか。
マーキングはやり方を間違えると、ただの「ぬり絵作業」になって記憶に残りません。ノートまとめも一切不要です。テキストを自分だけの辞書に育てるための4つのルールを紹介します。
ルール1:最初のうちはペン・マーカーを持たない
勉強を始めた初期は、テキストにマーカーを引いてはいけません。
何が重要か分からないまま引くと、最終的にページ全体が真っ黄色になって読みにくくなるだけです。最初はまっさらな状態で使いましょう。
ルール2:過去問で3回以上間違えた箇所だけ青ペンで囲む
同じ問題で何度も間違える、本物の苦手分野が出てきたら、いよいよペンの出番です。
テキストの該当する文章や図解の周りに、青ペンで「✕」や枠線を直接書き込みます。
わざわざ「苦手ノート」を作るのは時間の無駄です。テキストを開いた瞬間、青ペンで囲まれた弱点が目に飛び込んでくる状態のほうが何倍も効率的です。
ルール3:YouTubeで見つけた語呂合わせを余白に書き込む
独学で助けられたもののひとつがYouTubeの解説動画です。私は棚田行政書士の不動産大学と、国際弁護士Tokyo Joeの宅建講座をよく見ていました。
動画で「これは覚えやすい」と思った語呂合わせや説明は、必ずテキストの該当ページの余白に書き込みます。
ノートやスマホのメモに書くと、二度と見返しません。テキストに一元化しておけば、そのページを開くたびに勝手に復習されます。
ルール4:直前期の通読で見つけた「過去問未掲載の部分」にマーカーを引く
マーカーの本当の出番は、ステップ3で紹介した直前期の通読です。
「過去問には一度も出てこなかったけれど、テキストには載っている細かい数字や前提条件」を見つけたら、そこだけマーカーを引きます。
引く量はそれほど多くならないはずです。試験会場に持っていって、開始前の5分でマーカー箇所だけ見返す。これで直前チェックが完了します。
マーキング判断基準の早見表
| 状況 | ペンを使うか | 何を使うか |
|---|---|---|
| 勉強を始めた最初の頃 | 使わない | ー |
| 過去問で1〜2回間違えた | まだ使わない | ー |
| 過去問で3回以上間違えた | 使う | 青ペンで囲む |
| YouTubeで覚え方を知った | 使う | 余白に書き込む |
| 直前期の通読で初見の知識 | 使う | マーカー |
忙しい社会人のテキスト×隙間時間(スマホ)活用術

机に向かう時間だけでテキストを回しきるのは、正直しんどいです。5分、10分の隙間をどう使うかを紹介します。
ハック1:テキストを分冊化するか、スマホで撮影する
分厚いテキストを持ち歩いて、カバンから取り出すこと自体が心理的ハードルになります。
市販のテキストの多くは分野ごとに切り離せるセパレート仕様です。私が使っていたトリセツも、権利関係・宅建業法・法令上の制限といった分野ごとに分冊でき、切り離した後に貼る背表紙シールとインデックスシールまで付いていました。今日進める分野だけカバンに入れれば、荷物は3分の1になります。
とはいえ、工場勤務だと分冊でも職場には持ち込みにくいと思います。そこでもっと手軽なのが「今日確認したい図表のページをスマホで撮影」しておく方法です。
- 苦手な図表・一覧表のページを撮影する(最初は10枚程度でOK)
- 写真アプリで「宅建」というアルバムを作り、そこにまとめる
- アルバムをお気に入りに設定して、1タップで開ける場所に置く
- 覚えた図表は削除していく(残り枚数がそのまま進捗になります)
私は勉強道具を職場に持ち込めませんが、スマホなら昼休みにポケットから出すだけです。
ハック2:昼休みは「過去問道場→テキスト写真」の順で
ここでも順番は問題が先です。
私が昼休みにやっていたのは、スマホで「過去問道場」を解くことでした。一問一答ではなく、本番と同じ4択形式です。テキストを読むのではなく、まず解く。間違えたら、保存しておいたテキスト画像をすぐ見返す。
4択で解くのには理由があります。一問一答だと「この記述は○か×か」だけを判断する練習になりますが、本番は4つの選択肢を比べて一番マシなものを選ぶ試験です。隙間時間でも本番と同じ形式で解いておくと、選択肢を切っていく感覚が鈍りません。
出題のされ方が頭に残っている状態なので、1〜2分の確認でもしっかり入ります。逆に、先にテキストを読んでから問題を解こうとすると、昼休みが終わります。
昼休み15分の使い方(例)
| 時間 | やること |
|---|---|
| 最初の10分 | 過去問道場を分野指定で解く(4択で8〜10問) |
| 次の3分 | 間違えた論点のテキスト写真を確認 |
| 最後の2分 | 間違えた問題だけもう一度解き直す |
問題数は4択で10問前後が目安です。本番は50問を2時間なので1問あたり約2分半。昼休みも同じくらいのペースで解くと、時間感覚まで一緒に鍛えられます。
【注意】直前期に別のテキストを買い足してはいけない

最後に、直前期に必ず訪れる誘惑について書いておきます。
模試の点数が伸びないと、他の参考書がやたら良く見えてきます。「このテキストが悪いんじゃないか」「あっちの方が分かりやすそうだ」と。
私も本屋で他社のテキストを手に取ったことがあります。平積みされた分厚いテキストをめくりながら「こっちの方が情報量が多いんじゃないか」と考えていた、あの藁にもすがりたい感じは今でも覚えています。
でも買いませんでした。手元のトリセツ1冊で最後まで通して、45点です。買わなくて正解でした。
理由は3つあります。
- 表現のズレで脳が混乱する。同じ論点でも本によって説明の切り口が違うので、せっかく固めた知識が揺らぎます
- 買った時点で満足してしまう。新しい本を買った日の「やった気になる感」が一番危ないです
- 残り1ヶ月で新品1冊を回す時間はない。それより手元の1冊のマーカー箇所を3周した方が確実に点になります
点数が伸びないのはテキストのせいではなく、たいていアウトプット量が足りていないだけです。
直前期に不安になったときのチェックリスト
- [ ] 分野別過去問を、全問正解できるまで回したか
- [ ] 3回以上間違えた箇所(青ペン)を潰したか
- [ ] テキストを1周通読して、初見の知識にマーカーを引いたか
- [ ] 統計・法改正の資料に目を通したか
この4つが全部埋まっていないなら、やるべきは新しい本を買うことではありません。
勉強の進め方に迷っている人へ

ここまでテキストの使い方を書いてきましたが、「そもそも全体の進め方に自信が持てない」という方もいると思います。
私は勉強の初期に、大手通信講座フォーサイトの無料資料請求を利用しました。合格ノウハウをまとめたオリジナル書籍が届くので、どの科目をどの順番で進めるか、インプットとアウトプットの比率をどうするかといった部分を組み立てる参考になりました。
独学を続けるつもりでも、プロが作ったカリキュラムの型を知っておくと、自分の進め方を客観視できます。申し込みは1分ほど、15時までなら即日発送で、実際のフルカラーテキストと問題集のサンプルも入っています。
※フォーサイトの教材そのものの使い心地や、通信講座としての評判については別記事でまとめています。
まとめ:テキストを「ボロボロの相棒」に育てよう

宅建の勉強において、テキストは読むだけの本ではありません。
過去問と行き来して、間違えた箇所に印をつけて、覚え方を余白に書き込んでいく。試験本番の日に自分を合格させてくれる1冊に育てていくものです。
- まず問題集を解き、それを理解するための辞書としてテキストを使う(逆引き)
- 最初は無理に通読せず、1週間パラパラ眺めて興味づけから始める
- ノートまとめはせず、弱点も語呂合わせもテキストに一元化する
- 直前期(1ヶ月前)に初めて通読し、過去問で拾えない穴を埋める
工業高校卒で暗記が苦手だった私でも、この進め方で45点が取れました。特別な才能は必要ありません。
あなたのテキストがボロボロになるほど、合格は近づいています。
まだテキストを選んでいない方へ
この記事は「選んだテキストをどう回すか」に絞って書きました。まだ教材を決めていない方は、先にこちらを読んでから戻ってきてください。